CSRSustainable

ステークホルダーの皆様へのメッセージ

笑顔あふれる社会のために 代表取締役社長 日景 一郎

 当社は、本年6月に創立75周年を迎え、新たな四半世紀が 始まっています。その船出は、けっして平穏ではありません。世界的な気候変動、自然災害の発生、日本における少子高齢化社会の本格的な到来など、暮らしの不安を増す要素はさまざまです。また、世界経済はグローバル化の複雑性が一段と進み、当社を取り巻く社会環境は、日々スピードを上げて変化して います。そのような中、当社が100周年に向け、持続的発展を遂げるため、社長交代を含む新陳代謝を進め、不断の企業価値向上を図るべく、新たな体制へ移行いたしました。

 監査等委員会設置会社への移行については、監査等委員 がこれに伴い取締役会において議決権を持つことになり、会社として取締役への監督・監査の実効性が、向上することを期待しています。また、取締役会のモニタリング機能の強化などによりコーポレート・ガバナンスを一層充実させ、より透明性の 高い経営を実現し、国内外のステークホルダーの期待に、より的確に応える体制の構築を目指しています。

 当社は、8事業部体制で、シューズ、住宅資材や車輌資材、電子材料や生活関連製品、フィルム製品など、多岐に亘る製品群を多様なマーケットのお客様にご愛顧いただいています。これは、当社の大きな強みの一つと認識しており、お客様により近い 営業部門で長く仕事をしてきた経験からも実感しています。

 これらの事業に横串を刺し、当社の総合力を生かして「新しい価値」を創造していくことが、成長につながる鍵であると考えます。一例としては、昨年10月に、防災事業部を立ち上げ、一元化した 災害対策・防災・感染症対策製品事業の強化を目指していますが、それ以外にも、例えば、大手自動車メーカー様に採用された「導電性表皮材」は、当社の車輌資材と静電気対策製品の事業の融合から生まれた商品です。今後も、そのようなさまざまな事業部間連携の取り組みを進めてまいります。

 「新しい価値」の創造においては、新規性の高い製品・サービスの創造が重要ですが、当社の事業戦略の重要なキーワードは、「高社会性」です。防災事業はその象徴ですが、それ以外にも、超高齢社会の到来や、食品ロス、農産品の国内自給率など、さまざまな社会的課題があります。当社は、例えば、農業用フィルムや畜産関連製品、食品の長期保存に資する断熱材など、これらの課題解決にお役に立てる製品群があります。長年培ってきた「製品化技術」により、今後もこの「高社会性」を軸に、業容の拡大を目指してまいります。

 加えて、その他の「既存製品」においても、加工度を上げた製品や、新しいサービスの提供を志向いたします。単なる「製品の提供」にとどまらず、当社のマーケットに対する情報発信力を強化し、「情報価値」の付加に取り組んでまいります。新規性の高い、「情報価値」を付加した製品・サービスの提供は、当社製品のブランド価値の向上につながり、ひいては、企業価値の増大につながると考えています。

 なお、「高社会性」の点では、省資源・省エネルギーでの製品・サービスの提供に取り組むことも肝要であり、温室効果ガス排出量を極小化した事業活動を目指します。

 また、日本の製造業として、業容拡大における海外事業展開は必須と考えています。本年、新工場の稼働を予定している中国 (広東省佛山市)における車輌素材、あるいは、米国における医療用フィルムの取り組みなどに加え、既存・新設の海外製造・販売拠点を生かし、新規分野にも挑戦してまいります。

 昨年初頭以来、原油価格が高騰しています。今後、アフターコロナで世界経済は、より正常化していくことが予想され、景気が回復することが期待されますが、一方で、原油・ナフサの需要増、あるいはウクライナ問題の長期化など、資源高が継続し、原材料の価格も強含みに推移するものと予想されます。

 原材料については変動要因が多く、予断を許さない状況が続くものと思われます。これらのコストアップ分については、製造を 中心としてスマートプロセス・デジタル技術による生産性の向上などにスピードを上げて取り組むことも含めて、無駄を排除し、吸収する努力を行ってまいります。

 しかしながら、内部努力だけでは吸収できない面もあることも事実であり、お客様のご理解を得ながら価格改定を行い利益の確保をしてまいります。また、中長期的には、原材料の代替手段を構築することや、ナフサ由来ではない原材料での製品化などにも取り組んでまいります。

 社内における環境改善活動は毎年、環境目標を定め継続的に 取り組んでいます。カーボンニュートラルについては2021年度から中長期目標として、「エネルギー使用による総CO2排出量を基準年度(2018年度)比2030年度末までに30%削減」を掲げ、 昨年から具体的施策(グリーン電力への転換、コジェネ導入、太陽光発電の自家消費、省エネアイテムなど)の調査検討を開始し、2021年11月から徐々にグリーン電力への転換を開始しました。

 製造部門における環境関連全般を審議する環境委員会(1999年設置)が、省エネルギー、エネルギー源の変換、フロン排出削減、廃棄物削減、特定荷主として輸送の効率化などの対応を諮問しています。

 アキレスは、自社製造工程だけでなく、調達原材料から使用、廃棄まで、全てのCO2を対象と捉え、日本政府が進める2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、内外の動向や技術革新の進展も見極めながら、あらゆる選択肢を視野に入れ、対応を図ってまいります。具体的には、製造事業場での再生エネルギーの積極的な活用と、スマートプロセス・デジタル技術変革による生産性の改善と廃棄物を含む無駄の削減に、全社一丸となって取り組んでいます。

 これらの目標、そしてその成果などについての発信も、今後、より強化してまいります。

 一方で、カーボンニュートラル宣言と合わせて政府が掲げるグリーン成長戦略の中に、省エネ、ゼロエネルギー住宅の普及が盛り込まれています。当社が製造している高性能断熱材を使用することにより、高性能住宅の開発が比較的低コストで可能になるため、省エネ、ゼロエネルギー住宅の普及に貢献できると考えています。

 言うまでもなく、経営資源の中で、ヒューマンリソースがもっとも大切であると考えています。当社は伝統的に、「一人ひとりを大切にする」文化が醸成されていると自負していますが、より一層、増進していかねばなりません。今後の成長においても、人材の多様性が重要であり、そのためにも、お互いを尊重し、 しっかりと「承認行為」をし合える、「明るい職場づくり」に取り 組んでまいります。

 また、グローバル展開のための人材の育成や、製造で展開しているスマートプロセスへの取り組みを営業部門や間接部門に展開するにあたってのDXを牽引する人材の育成のための研修などを充実してまいります。今後も、組織のダイバーシティの 推進のため、個人の属性に関わらず活躍できる環境整備や、 働き方改革を進めてまいります。

 また、知的財産を拡充していくことは、製造業にとって重要ですので、特に研究開発本部をはじめとする開発組織については、「まずはやってみる」こと、チャレンジしやすい環境をつくってまいります。

 まずはじめに、ご提言くださいました土肥教授に感謝申し上げます。アキレスグループはグローバル企業として、引き続き、マルチステークホルダーへの配慮に努めることをお約束したいと思います。

 ご提言いただいた「サプライチェーンにおける人権対応」「サーキュラリティ(循環性)への取り組み」「気候変動およびカーボンニュートラルへの対応」の3つの課題への対応は、すでに着手しているものの、今後、さらに実効性を上げるとともに、丁寧な情報開示を進める必要があることを、改めて認識する機会となりました。

 サプライチェーン上の人権リスクに関しましては、2021年度に初めて主要取引先に対してアンケート調査を行いました。 結果の概要は当レポートに記載していますが、特にリスクが 高いと思われる相手に対しては、調査方法のあり方などを今後検討したいと思います。また、循環型社会への貢献につきましても、温暖化対策を含む自然資本毀損のリスクの低減の観点から、原材料の変更や中長期的には事業モデルのあり方について、当社の企業価値に資する方向性を議論してまいりたいと考えています。カーボンニュートラルへの具体的な対応については、 まずは、徹底した省エネを行いながら、計画的にグリーン電力への転換を進めてまいります。また、長期的にはCO2フリー エネルギーや新技術の導入なども想定されるため、コスト最適での対応が基本と考えています。

 私は、1985年当社に入社以来今日に至るまで、途中2年間、製造部門の統轄をしておりました時期を除いては、大阪・福岡の勤務も含め営業部門で仕事をしてまいりました。

 今後の抱負といたしましては、縷々述べてまいりました課題について、当社の企業理念に基づき、その「実」を上げるべく、全役員、グループ全従業員の先頭に立ち、より一層スピードを上げて、取り組んでまいります。

 75年の歴史で培った技術・ノウハウ、あるいはお取引先様とのネットワークを礎に、当社グループの全員の総力をもってすれば、「新しい価値」を生み出し続けることができると確信しています。特に、お客様により近いところで仕事を続けてきた経験からも、当社の強みの一つは、多岐に亘る市場の多様なお客様にご愛顧いただいていることにあると認識しています。この強みを生かし、防災事業はもとより、さまざまな 事業を横断した取り組みを推進し、ひいては、「新しい価値」の創造に邁進してまいりますので、一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2022年9月